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コーヒーが冷めないうちに 川口俊和・続編:この嘘がばれないうちに

コーヒーカップ 読書
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コーヒーが冷めないうちに
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2017年本屋大賞10位の「コーヒーが冷めないうちに」。

2018年9月21日に映画が公開されるということが話題です。

中学生の娘がこの本を勧めてくれました。彼女曰く「すごくよかったんだけど、私には経験のないことばかりで感情移入が難しかったから、母さんならもっとわかるんじゃないかと思って」だそうです。

読んでみて。泣きました(;_;)

「4回泣ける」と言われた本作、もっと私は泣いたような?

もとは舞台だった作品なのですね。それを書籍化したそうで、読んでいると確かに、舞台上でこんな場面だったらおもしろかっただろうな、笑えるな、というシーンも多かったです。

以下ネタバレ

コーヒーが冷めないうちに

最初に、この本で語られるストーリー4話のタイトルが書かれています。

そのため、物語が始まって店内に揃う人たちがそれぞれ、たぶんこの人が第2話の主人公でこの人が3話かな?と見当がつきます。話の流れ的にも、たぶんこういうことかな?と先が読める部分が多いですが、それでも、ああやっぱりねーと思いながらも泣けてしまう物語です。

物語の舞台・喫茶店フニクリフニクラは、ある席に座ると望んだ時間に戻れるという都市伝説のあるお店。

ただし、よくあるタイムマシンで過去に戻って今の状況を変えるというような物語ではありません。過去には戻れても、現実は変わらないというルールがあるのです。

そのほかにも、その席には先客がいて、その先客が席を外した時だけしか座れない、とか、ある時間に戻って会えるのは、フニクリフニクラに来たことがある人だけ、とか、いろいろなルールがあるのです。

しかも、フニクリフニクラで働いている数ちゃんという女性が淹れたコーヒーが必須で、時間移動できるのはそのコーヒーがカップに注がれてから、そのコーヒーが冷めきるまでの短い間だけなのです。

第一話「恋人」

第一話は、結婚を考えていた彼氏と別れた女の話です。

この話の主人公、仕事ができる美人・二美子さんは、最初はこの物語のプロローグ的な、読者を喫茶店に案内するような役割で終わりかと思ったのですが、その後もずっと出てくる重要人物です。

4話ある中では比較的軽めの内容ですが、不思議な喫茶店の魅力を読者に紹介してくれます。また、笑える要素も多め。

二美子さんが最初に恋人と喫茶店に来たときは、同じテーブルに向かい合わせで座っていましたが、過去に戻った時は、例の席から離れられないというルールがあるため、恋人の座っているテーブルの二つ奥のテーブルに座っており、二人の間には3つテーブルがある状態で話すというおかしな格好。これ、舞台なら爆笑でしょうね。


コーヒーが冷めないうちに [ 川口俊和 ]
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第2話「夫婦」

アルツハイマー病でどんどん記憶をなくしていく夫を、看護師としてずっとサポートしていく妻の話です。

夫が、昔妻にあてた手紙を渡せずにいたということを知って、妻は手紙を受け取るために過去に戻ります。これはせつないです。

私は、祖母の認知症がすすんで、孫の私がわからなくなった時にとてもショックで、かなりつらかったですが、自分の夫だったらどうでしょう?いつも一緒に暮らしていけるでしょうか?

献身的に支える妻がすごいのですが、夫の気持ちを知った後の妻の対応も素敵でした。

第3話「姉妹」

家を飛び出した姉を、あきらめずに何度も田舎から訪ねてきていた妹。

その妹を姉は避けます。隠れて会わず、置手紙も読まなかったその日の帰り道に妹は交通事故死。

数ちゃんのコーヒーで、姉は妹に会わなかったその日に戻ります。戻ったところで、妹が死んでしまう事実は変えられないのですが、過去に戻ったことで姉はある決断をすることができました。

3話までで、喫茶店メンバーの流さん、計さん、数ちゃんの、3人タイプは違うのですが、それぞれやさしくてあたたかいこと、同じく常連客の2話の主人公である妻、3話の主人公である姉もとてもすてきな人たちだとわかります。

第4話「親子」

喫茶店オーナーの流さんは数ちゃんのいとこです。

その流さんの妻・計さんは、明るくてほがらかな妊婦さんだけど持病があり、出産には耐えられない体でした。

そこで、この物語では初めて、過去ではなく未来へ行くのです。そして生まれてくる子に会いに行くのでした。

実はその子は女の子で、すでに少し前、コーヒーの力で過去に戻り生きていたころの母・計さんに会いに来ていました。すぐ、あ、計さんの娘だなとわかりました。父である流さんに対する態度がそっけなくて笑えました。これも感動的なお話です。

この計さんが未来へ行くとき、例の席の先客が初めて反応をします。

この先客、いつも白い半そでのワンピースを着ている女性で、本を読んでいるだけで何もしません。この白いワンピースの女性は、以前コーヒーの力で過去に戻り、死んだ夫に会いに行ってコーヒーが冷めきってしまい、現在に戻ってこれずに幽霊になった人でした。

その人が、計さんのやりとりに反応を示した時、ああ、たぶんこの人誰かのお母さんだなと思いました。お母さんだから計さんの気持ちがわかるのだと。

そしてお母さんだとすれば誰のお母さんか?わかっている登場人物の中で疑わしいのは、いつもクールでミステリアスな数ちゃんです。

そして、計さんが15年後の未来に行ったとき、喫茶店フニクリフニクラのオーナーは、流さんではなく知らない男性になっていました。

しかし読者は、この男性の風貌が説明されたことで、この男性が第1話の二美子さんの彼だとわかります。そして、その未来では喫茶店は無事に彼と結婚した二美子さんたちが夫婦で経営していました。

そしてなぜか流さんと数ちゃんは北海道にいて、理由は時間がないからと割愛され、計さんと流さんの娘は数ちゃんの仕事を受け継いで店に残っており、無事に計さんは生まれてくる我が子と対面できたのでした。お母さんにはたまらない話です。

さて、この「コーヒーが冷めないうちに」はここで終わりで、白いワンピースの女の正体もわからず、15年後のフニクリフニクラがどうしてそうなったのかもわからずじまい。そうしたら続編があったのですね!

この嘘がばれないうちに


この嘘がばれないうちに
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タイトル通り、この本に出てくる喫茶店フニクリフニクラへやってきた人たちは、みんな何か嘘や秘密、言えなかった何かを持っています。

そして、やはり白いワンピースの女は、数ちゃんのお母さんでした。数ちゃんの淹れたコーヒーで過去に戻ったまま帰らなかった母。突然母と別れることになってしまった幼き日の数ちゃんのことが少しずつ見えてくるお話です。

第1話 22年前に亡くなった親友に会いに行く男の話

第1話では、親友っていいなあと思いました。

恩のある亡くなった親友が残した幼子を、自分の子供として育てる男性の話なのですが、親子って血のつながりだけじゃないよなあと改めて思います。

親友っていっても他人なのに、死んでしまってもずっと思い続けるのってうらやましいです。

第2話 母親の葬儀に出られなかった息子の話

第2話に登場する、死んでしまう母親・絹代さんは、数ちゃんの特別な人でもあります。

数ちゃんは、幼いころは明るくて元気な少女でした。

しかし、自分が淹れたコーヒーで母が幽霊になってしまってから、自分だけ幸せになっちゃいけないと思い悩みます。

ある日、踏切に入っていこうとする幼い数ちゃんを引き留め、「おばちゃんも一緒に連れて行ってくれない?」と言ったのが絹代さんでした。

泣ける~(;_;)

こんなこと、他人の子に言えるでしょうか?

そして数ちゃんは今も生きています。でも絹代さんは病気で死んでしまいました。

その息子・幸雄さんは、自分の夢を追いかけて家を出ていました。その夢をずっと応援してくれていたのも絹代さんです。

ある理由で葬儀に出られなかったその幸雄さんが、過去に戻って絹代さんに会いに行くのですが、ここがまた泣ける(;_;)泣ける!

幸雄さんを過去に戻すとき、心配だった数ちゃんはある仕掛けをします。その意味に、過去の絹代さんは気付きます。

そして涙の親子の別れ・・・なのですが、このシーンの途中、「カラン」とフニクリフニクラへの来客を知らせる、ドアのカウベルが鳴るのに、鳴った音のみで誰も反応せず、来客の様子も書かれないまま、涙の親子の別れのシーンは続きます。

ん?誰だったの?と思いながら、カウンターにいた絹代さんの孫・陽介くんがひとりでいたから、陽介君の母親で幸雄さんの姉の京子さんが来たのかな?などと想像していましたが、このカウベルを鳴らして入ってきた客は、実は第4話の主人公・老刑事・万田さんだと、第4話でわかります。

第3話 結婚できなかった恋人に会いに行く男の話

さて第3話では、「コーヒーが冷めないうちに」第1話の主人公・二美子さんが関わってきます。

これは、彼女を残して死んでしまった彼の人柄とかやさしさがたまらないし、その彼に彼女が心配かけないようにつく嘘もたまらないです。

彼女の嘘は、バレバレなんですよね。でも、彼女の言わんとすることや、気持ちは、絶対彼に伝わったと思います。

第4話 妻にプレゼントを渡しに行く老刑事の話

第4話。老刑事の話は、今までフニクリフニクラで時間移動した客たちをザっと振り返ることができ、白いワンピースの女、すなわち数ちゃんのお母さんが、数ちゃんをお腹に宿しているところも出てきます。

基本的には、ある事故で死んでしまった妻に、老刑事が渡せなかったプレゼントを渡しに行く話なのですが、内容盛りだくさんです。

そして数ちゃんの妊娠、時を移動するコーヒーを入れる者の代替わりもあります。

引き継ぐのは、「コーヒーが冷めないうちに」でわかっていましたが、流さんと計さんの娘・ミキちゃん。数ちゃんが、愛する家族をもって幸せになることを祈っています。

そうそう、ミキちゃん、すごくかわいいです。そして笑わせてくれます。実にいいタイミングでいいセリフを言います。さすが計さんの娘です。

しかし、「この嘘がばれないうちに」でも、数ちゃんのお母さんが戻ってこなかった理由はわからないし、なぜ未来のフニクリフニクラのオーナーが二美子さん夫妻になっているのかも不明、数ちゃんと流さんが北海道にいる理由も不明です。

しかも、数ちゃんの恋人も、数ちゃんに3回告白してやっと付き合いだした大学の先輩としかわからず、本人は登場しません。

ということは、また続編が出るのかな?と期待してお待ちしています(#^^#)


この嘘がばれないうちに [ 川口俊和 ]
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↓続編です

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