「silent」フジテレビ木10ドラマで思う失聴者と要約筆記

要約筆記
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今夜12/8に第9話放送予定のドラマ「silent」。高校生の娘と一緒に見ているこのドラマ、病気で聴力を失った青年・想と、再会した高校時代の恋人・紬を中心に進むストーリーで、多方面で話題になっています。基本ラブストーリーですが、聴覚障がいを扱った内容なので、入門編だけ通った要約筆記者養成講座を思い出す部分が多くあります。ドラマの登場人物のセリフを借りるなら、私は「へらへら生きてる聴者」なので、本当の当事者のことはわからないのですが、なんともドラマが切なくていろいろと考えてしまったのです。

いいひとばかりのドラマ

たくさんいる登場人物の中で、誰に感情移入するか誰が好きかで見方は変わると思いますが、今のところ悪いひとはいないみたいです。だから余計切ないわけですが。

以下ネタバレあり

湊斗くん

湊斗くん、演じるのは鈴鹿央士さんです。私はドラゴン桜で知った俳優さんですが、今回演じる湊斗くんは川口春奈さん演じる紬の恋人で、紬に「主成分:優しさ」と言われる優しい恋人です。

あまりにもいいひとなので、紬ちゃんと別れることになるのはつらいなあと思って見ていました。

紬ちゃんも正直な人で、想くんと再会したことなど隠さずに言うし、想くんと離れていた8年の間にあったことを知って想くんへの思いがまた膨らんできたことも事実だろうけれど、湊斗くんが大好きだったのも本当だと思うので、あのまま別れずにいてもよかったようにも感じます。

でもそれだと湊斗くんがもう耐えられなくなってしまうんでしょうね。湊斗くんは紬ちゃんも想くんも大好きなのだから。高校時代の思い出のシーンがたまらないです。つきあいだした想くんと紬ちゃんを遠くから見ている湊斗くんが切ない。

別れた後も、想くんとのやりとりはそのままに、「紬を幸せにし隊」隊長に就任させられていました。ずっとふたりを見守っているんでしょうね。

真子ちゃん

前述の「紬を幸せにし隊」メンバーになった真子ちゃん。演じるのは藤間爽子さん。二宮和也さん主演のマイファミリーに出演されていましたね。

今回の役は紬ちゃんの親友で、想くんと湊斗くんとも高校の同級生という関係です。

この真子ちゃんは、いつも紬ちゃんの話をなんでも聞いてくれて、紬ちゃんのことを思ってくれているお友達です。紬ちゃんになにかあると、夜でもすぐかけつけてくれて、こんな親友がいるってうらやましいなあと思います。

湊斗くんと別れた時も、紬ちゃんのフォローはもちろんのこと、湊斗くんのフォローもしてました。

光くん

光くんも「紬を幸せにし隊」メンバーで紬ちゃんの弟。演じるのは板垣李光人さん。私は、「ここは今から倫理です。」「カラフラブル」と連続で板垣さんの中性的な役どころを見た後に、「青天を衝け」で、おっ、となって今回また、おっとなっています。

光くんは派手目な恰好が多くて、今っぽい男の子なのですが、周りを気遣える優しい男の子です。年頃だけど、お母さんとの関係も良好そうに見えます。

姉の紬ちゃんと同居していて、どうやら紬ちゃんに支えてもらった時期があるようですが、今のところ光くんの過去ははっきり出てきていません。

お姉ちゃんと湊斗くんがうまくいくことを望んでいたので、最初は想くんとのことをよく思ってないようでしたが、今では理解してくれていて「紬を幸せにし隊」メンバーです。

古賀先生

山崎樹範さん演じる古賀先生は、主人公たちの高校の先生で、今はフットサル場の経営をしています。

最初から、この古賀先生はなにか事情を知っているなとわかっていたのですが、案の定想くんの耳のことを知っていて、おそらく本人から口止めされたのかほかの生徒には言っていませんでした。

でもずっと想くんのことを心配しながら、なにもしてやれずに悩んでいたんだろうなという感じで。

想くんが、湊斗くんに誘われて、また高校のサッカー部のみんなと会えた時は号泣していました。

若い時って、こういう自分よりちょっと年上で、なんでも話を聞いてくれる他人という存在はありがたいものだと思います。

中途失聴者と手話

物語の中で、紬ちゃんが想くんに、途中まで話せていたひとの場合、手話を使わずに声で話すひとが多いと聞いたけど、想くんは話さないのはなぜかと聞きます。

確かに私も、要約筆記者養成講座でそう習ったので気になっていました。

聴覚障がい者の中でも、生まれつきではなく、途中から聞こえなくなった人や難聴者、高齢者の場合、そのうちなんと8割もの人が手話はできないというのです。

くわしくはこちらの記事でまとめたのでよかったらどうぞ。

想くんは、声は出せるけど自分には聞こえないから、自分で感じ取れないことがすごく怖い、と言っていました。

そうですよね、自分の言っていることが聞こえない状態で、よどみなくしゃべることって難しいと想像します。声のボリューム感もわからないし。

2022年1月から放送されていた、TBS火曜ドラマ「ファイトソング」では、中途失聴者である清原果耶さん演じる主人公も、石田ひかりさん演じるもうひとりの中途失聴者も、普通にしゃべっていました。ドラマで描かれていなかった聴力を失った直後の頃は、もしかするとしゃべるのに戸惑っていたのかもしれません。

中途失聴者のおかれる状況

「silent」の中で、想くんがろう者の奈々ちゃん(演じるのは夏帆さん)と出会った頃、友達がいないという想くんに、奈々ちゃんがろう者の友達を紹介すると想くんが怒って(ショックを受けて)出て行ってしまうシーンがありました。

「俺はまだ聞こえる」と奈々ちゃんにぶつけ、それを受けた奈々ちゃんも、自分は私達とは違うというのかと傷つきます。そして想くん自身も、自分は聴者でもなくろう者でもないと自分の居場所をとらえることができずに苦しんでいました。

それまで聞こえていたものが聞こえなくなることで、状況が一変し、悩んで苦しむ中途失聴者には複雑な思いがあり、周囲の支えがどうしても必要です。

中途失聴者についてはこちらの記事で書きました。

「silent」で描かれる要約筆記者

「silent」の中では、手話が主な会話の方法です。

「手話通訳士」というものは登場しましたが、「要約筆記者」というものは登場していません。

やっぱり「ファイトソング」同様、「silent」でも触れられないのかなあと思いながら見ていたら、奈々ちゃんに想くんが、大学の授業どうしているかと聞くとパソコンテイク(ノートテイク)を利用していると答えたので、ああ、やっと要約筆記(文字で行う同時通訳)が登場した、と思いましたが、その場はそれだけ。

そして第8話で、奈々ちゃんと、風間俊介さん演じる手話の先生・春尾さんの昔の思い出の中で要約筆記の場面が登場。

しかし、要約筆記者という専門職のひとが出たわけではなく、学生のボランティア活動として行われていました。奈々ちゃんの横で授業内容をパソコンに打ち込んで文字で通訳をするわけです。

ただ、描かれ方としては就職のための楽なボランティア活動という立ち位置で、やっている学生もあんまり熱心でないというか、奈々ちゃんのお礼も伝えられないような相手でちょっとがっかりでした。

silentくらい話題を集めるドラマで大々的に「要約筆記者」を宣伝してもらえたら、もっと認知度があがるでしょうに。

ドラマの作り手さんたちもいろいろ取材をしているのでしょうから、それで要約筆記者を出さないのは、やっぱり今の時代は音声文字変換アプリが優秀になってきていて、ドラマ内でも活用されていたように、十分性能が備わってきているのかもしれません。

とは言え、要約筆記は高い技術力がないとできないことで、いろいろなところで活躍されている要約筆記者の方々の存在は宣伝して欲しかったと思います。このあとどこかで出てくることを期待しています。

奈々ちゃんと春尾さん

手話の先生・春尾さんは、湊斗くんと居酒屋で出会った時から、なんだかひねくれたことを言う人物で、過去に何かあったんだろうなあと思っていましたが、奈々ちゃんといろいろあった人物だったのですね。

春尾さんは、最初、前述したような「就職のための楽なボランティア活動」としてパソコンテイクをしていて、相手の子は耳が聞こえないから余計なコミュニケーションをとらずにすむなど、けっこう辛辣なことを言っていたのですが、奈々ちゃんと出会ったことで変わっていきます。恋の力はすごいです。

春尾さんは手話通訳士を仕事として考えるようになり、手話サークルを大学内に作る計画を立てたりするのですが、それを知った奈々ちゃんと喧嘩に。

春尾さんとしては「喜ばせたい、役に立ちたい」という思いからしたことでした。

でもそれは奈々ちゃんというろう者当事者にとっては「押し付けられた善意=偽善」であり、春尾さんたちは「へらへら生きてる聴者」だったのです。

相手を思ってしたことのはずが、うまくいかないことは多々ありますが、切ないです。

時がたって奈々ちゃんは

でも、想くんと紬ちゃんとのことがあって、春尾さんを思い出した奈々ちゃんは、春尾さんを訪ねます。

そして想くんと紬ちゃんの話になると、ふたりがうまくいくといいと言い、「聞こえるとか聞こえないとか関係ないって思いたい」と春尾さんに言うのです。

春尾さんも、あの時自分はどうすればよかったのかと悩み続けていたようだし、大学の頃から時がたってお互い大人になって、もう喧嘩腰にならずに冷静に相手を思いやりながら話せたらいいですね。

奈々ちゃんも、とてもいい子だから「奈々を幸せにし隊」もどこかで結成されるんじゃないでしょうか。

そして母親たち

第8話では、紬ちゃんのお母さんのすてきなエピソードが出てきましたが、第9話は想くんのお母さんの方がメインになりそうな次回予告でしたね。

どこか自分を責めているようなところも見受けられますが、息子の想くんの病状に1番に気付き、妹とともに手話を覚えて、妹が不満に思うほどに想くんを心配しているお母さん。

次回予告ではお姉さんともひと悶着ありそうでした。

今夜、あともう少しで放送です。

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