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さよならも言えないうちに「コーヒーが冷めないうちに」第4弾ネタバレありであらすじと感想

読書
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2018年に有村架純さん主演で映画化もされたベストセラー「コーヒーが冷めないうちに」の第5弾「やさしさを忘れぬうちに」が、2023年3月に発売されました。1作目は4回泣けると話題になり、本屋大賞にノミネートされ、時を経てハリウッド映画化もされることになった名作です。著者は川口俊和さん。今回は、このシリーズの第4弾「さよならも言えないうちに」をネタバレありで紹介します。

「さよならも言えないうちに」をざっくりと

第2弾「この嘘がばれないうちに」は、第1弾「コーヒーが冷めないうちに」の続編になっており、第3弾「思い出が消えないうちに」もそこに続く物語となっていました。ただ、まだ語られていない物語が残っており、第4弾ではとうとうそれがわかるのかと思いきや、なぜかこの第4弾は、

本作は『コーヒーが冷めないうちに』の翌年の話として描かれています。

「さよならも言えないうちに」川口俊和著・サンマーク出版

の一文からプロローグへと進みます。

数ちゃんのお母さんの話とか、数ちゃんの夫になるひととのエピソードとかを期待していたのにっっ!!また引っ張られた感がありましたが、そのままページをめくります。

「コーヒーが冷めないうちに」の第一話の主人公・清川二美子さんがまたも第一話に登場。喫茶店フニクリフニクラで不思議な席に座り、過去に戻ったことのある二美子さんは、1年経ってすっかりフニクリフニクラの常連となった模様。第3弾では、フニクリフニクラを長く留守にすることになった店主・時田流さんに、店主代理を頼まれるくらいの間柄になる二美子さんです。

第3弾「思い出が消えないうちに」については以下の記事をどうぞ。

この本の帯には以下のような言葉が書かれています。

「最後」があるとわかっていたのに、なぜそれがあの日だと思えなかったんだろう

なにごとにも最後はありますが、この帯の言葉と、タイトル「さよならも言えないうちに」がセットで来ると、もう泣くのは必至と感じます。

ということで、第一話から第四話まで順に紹介します。

第一話 大事なことを伝えていなかった夫の話

第一話の主人公・門倉は、二美子さんの大学の先生です。好奇心旺盛で子どものような人で、フニクリフニクラのめんどくさいルールを興味津々でメモし、幽霊に呪われてみたいと言ってわざと白いワンピースの女の人を席から立たせようとしてみたり、ちょっと風変わりな男性です。

自分が変わり者だという自覚はあるらしく、自分には誰かを幸せにできるわけはないし、結婚などできないと思っていた門倉ですが、縁あって離婚歴のある三重子という女性と結婚します。離婚した理由は、相手につまらない女だと言われて、とのこと。

門倉は考古学を研究していて、自分の興味のあることだけに没頭し、家のことも子育ても三重子に任せて世界中をまわっていました。そんな門倉を三重子はいつも笑顔で送り出し、帰ってくると門倉の話を最後まできちんと聞いて、不満も贅沢も言いません。

ところがある日、事故で三重子は植物状態になってしまいます。門倉は初めて、自分にとっていつも帰る場所は三重子だったのだと気付き、どうしても話せる状態の三重子に会って伝えたいことがあると、フニクリフニクラにやってきたのでした。

正直、昭和の古いお父さん像を思わせる門倉は、今の人には理解できないだろうなと思うし、それを笑って受け入れる三重子は、私には考えられない人です。

でも、突然の事故で話せなくなった時に沸き上がった門倉の後悔、過去に戻って伝えた時の思い、それを聞いた三重子や子どもたちのことを思うとじわっと泣けてくるお話でした。

第二話 愛犬にさよならが言えなかった女の話

第二話の主人公・スナオと坴男(むつお)夫婦は、ゴールデンレトリーバーのアポロを老衰で亡くしました。

夫婦は子どもがなく、アポロを本当の子どものようにかわいがっていて、もうすぐ寿命とわかってから交代で寝ずに看病していたのですが、妻のスナオが付き添っていた時、寝不足がたたってうたた寝をしてしまい、その間にアポロは亡くなってしまいます。アポロを看取ってあげられなかったことを悔やむスナオを見て、坴男は、過去に戻れるという都市伝説の喫茶店フニクリフニクラを訪ねます。

そこで「めんどくさいルール」の説明を聞き、家に帰ってスナオに話すと、スナオはひとりでフニクリフニクラにやってきます。

後悔して自分を責めるスナオを救ってあげたい坴男と、アポロにも坴男にも申し訳なくてどうすることもできないスナオが、それまでのエピソードが綴られる中でとてもいい夫婦であることと、それをつないでいたアポロを失った悲しさとでやっぱりじわっと泣けてきます。

そして過去に戻って過去の坴男とアポロに会えたスナオは、自分が寝てしまったことで看取れなかったと坴男に話します。すると坴男は、坴男だけが知るアポロの習慣をスナオに話すのです。もうそこは涙涙。犬ってすごいなと。私事ながら我が家も愛犬を老衰で亡くしたため、もう泣けてくる泣けてくる。

結果として、スナオは過去に戻ってよかったと思います。

きっとこの先も、夫婦仲良くアポロの思い出と一緒に暮らしていくのだと想像できるラストでした。

第三話 プロポーズの返事ができなかった女の話

第三話の主人公・ひかりは、恋人の羊二からプロポーズされた時、迷いがあって返事を先延ばしにしました。羊二は待ってると答えたのですが、その半年後、ほかに好きな人ができたと言って別れを切り出します。

ひかりは、羊二は待ってると言ったはずなのにと思ってあきれつつも、自分はふられたのだと思っていました。ですが、その後羊二の訃報が。

そこでひかりは彼の性格を考え、もしかしたら病気がわかって、好きな人ができたと嘘をついて別れたのか?いや、そんなのは自分の都合のいい解釈だ、ともやもやします。でも、彼を思い出す中で、本当は自分は羊二を好きだったと気付きます。

そしてフニクリフニクラで過去へ。現実は変わらないのだとしても、この気持ちを伝えよう、羊二の本心を確かめよう、と。

過去のフニクリフニクラに現れたひかりを見て、羊二はひかりが未来から来たのだとすぐわかったようでした。実は「待ってる」と言ったのは、プロポーズの返事を延期された後、そのままフニクリフニクラで未来からやってくるひかりを待つ、という意味だったというのです。

「コーヒーが冷めないうちに」シリーズには、自分の死という恐怖の中、大切な人を思いやる人物がたくさん出てきます。そのたび、自分はそうなれるだろうかと考えてしまいます。

羊二も、大切なひかりを思いやっていたのでした。

過去の羊二から本心を聞き、ある物を受け取って現在に戻ってきたひかりは、時々泣きそうになりながらも、きっと前を向いて歩いて行けると思います。

第四話 父を追い返してしまった娘の話

第四話は東日本大震災が関わる話で、もともとは仙台市のラジオ局から依頼された作者が、ラジオドラマとして書いたものを小説として書き直したのだそうです。

路子(みちこ)は大好きだった母をなくして以来、父・賢吾に育てられますが、その小言に嫌気がさし、東京の大学に入ることで宮城県名取市にある家から離れ、父との連絡も取らずにいました。

その路子を、大学を通じて連絡を取り賢吾が訪ねてきます。待ち合わせ場所はフニクリフニクラ。でも、路子はその父を追い返してしまいました。その三日後、賢吾は東日本大震災の津波に飲まれて亡くなります。

路子は後悔します。あの時自分が追い返したりしなければ父は生きていたのではないか。

賢吾は一度は避難していたのです。しかし、路子のためにと貯金していた通帳を家に置いてきたことを思い出し、取りに帰ってしまったのです。地震の揺れから津波到達まで1時間あったので、そうした避難後にまたもどってしまったひとが少なくなかったのだそうです。

後悔したまま6年が経ち、路子は婚約します。婚約者は、フニクリフニクラの常連であり過去に戻った経験のある二美子さんと知り合いで、後悔し続ける路子にフニクリフニクラのあの席のことを教えました。父を助けたかった路子は、過去に戻っても現実は変えられないというルールを知り、一度は店を出ますが、変えられなくても、父に謝りたいと過去に戻ることにします。

そして6年前の父と再会。父と娘が話したことは・・・。

「さよならも言えないうちに」を読んで

さよならがいつ訪れるかはわからないと頭ではわかっていても、日々そのことを深く考えて人と接しているという人は少ないのではないでしょうか。実家から離れて住んでいた私の叔母は、年老いた両親に会いに来るときはいつも、これが最後かもしれないと覚悟して接していたと言っていました。

ですが、まだまだ若いのにさよならが訪れる場合もありますから、覚悟ができないことも多いはずです。不思議な喫茶店フニクリフニクラの場所は私たちにはわかりません。

フニクリフニクラのルールである、「現実は変わらない」というのは、タイムスリップものとしてはまずない設定ですが、でもだからこそ変わらない現実があっても、みんなそれを乗り越えられるということを見せてもらえている気がします。

「さよならも言えないうちに」には、「コーヒーが冷めないうちに」の登場人物だった、看護師の高竹さんが出てきます。そして第四話で、若年性アルツハイマー型認知症で自分のことを忘れてしまった夫・房木を変わらず支え続けているのがわかります。

一方で、第四話では第一話の門倉の妻が意識を取り戻したとわかります。もう年齢的に長くないと言われていた三重子ですが、どうかこの夫婦が最後まで幸せな時間を過ごせますようにと思います。

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