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「椿ノ恋文」小川糸著・ツバキ文具店シリーズ第3弾のあらすじをネタバレありで紹介

羽ペンとインク 読書
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ドラマ化もされたツバキ文具店シリーズの第3弾「椿ノ恋文」が2023年10月30日発行、11月1日に発売されました。ツバキ文具店続編「キラキラ共和国」から6年経っていると知ってびっくり。そして、主人公・ポッポちゃんこと鳩子の家族も子どもがふたり増えていました。立て続けに妊娠・出産、その後も育児に追われ、代書屋をお休みしていたポッポちゃん。子どもたちが小学校入学するにあたり、代書屋を再開することになりました。またあの優しい空気の文具店で物語が始まります。あたたかい気持ちになったり、考えさせられたり、泣けたりの「椿ノ恋文」あらすじをネタバレありで紹介します。

物語の始まりは代書屋再開の挨拶状

物語の中でポッポちゃんが代書したものは、手書きの状態で本に載るので、読者は毎回そのままを見ることができます。

残念ながら色までは再現されていませんが、いつもポッポちゃんが悩みながら選ぶ便箋は再現されています。

「椿ノ恋文」の第一章は「紫陽花」ですが、その最初のページは、代書屋再開の挨拶状になっていて、前作の「キラキラ共和国」から「椿ノ恋文」までの間のポッポちゃんの様子がわかります。

「キラキラ共和国」については以下の記事をどうぞ。

ミツローさんと結婚し、ミツローさんと亡くなった前妻である美雪さんとの間の娘・QPちゃんこと陽菜(はるな)ちゃんと、仲良し3人家族になったポッポちゃん。

6年前に次女の小梅ちゃんが生まれ、なんと出産後すぐ妊娠。長男の蓮太朗くんが生まれたそう。

そして小梅ちゃんと蓮太朗くんは、同級生で一緒に入学。同時期にふたり授乳していたこともあったらしく、そりゃ大変だわと思いました。

代書屋はお休みで、ツバキ文具店はバイトの子に手伝ってもらいながら続けていたようです。

お馴染みの登場人物も

1作目の「ツバキ文具店」からの登場人物も出てきて、ファンを喜ばせてくれます。

体の具合が心配だった男爵、その妻になったパンティー。

マダムカルピス。(NHKドラマではマダムサイダー)

ポッポちゃんの友達の舞ちゃん。

外国に引っ越してしまったバーバラ婦人。

あえてここには名前を出しませんが、ほかにも登場するのでお楽しみに。

「ツバキ文具店」については以下の記事をどうぞ。

紫陽花

代書屋再開の挨拶状から始まる、第一章「紫陽花」。

久しぶりにひとりで鎌倉の街に出たポッポちゃんが、ちょっと前を思い返しながら、読者にかるく近況報告をするような形で続きます。

そして代書屋再開後、初のお客様は、ポッポちゃんの友達の舞ちゃん。

舞ちゃんは、義理のお母さんが大好きです。嫁姑が仲良しって素敵ですね。

義理のお母さん・ゆっこママは家事が完璧でお料理が上手。よく作ったお料理やお菓子を食べさせてくれるそうで、つい最近も作ったパンプキンプリンを義理のお父さんが届けてくれたとのこと。

ところがこのプリンに髪の毛が入っていたのです。

しかも、その前のメンチカツにも入っていたらしく、舞ちゃんは、それをゆっこママに伝えるかどうか悩んでいました。

1回だけなら言わなくてもいいかもしれないけれど、2回続いたし、ゆっこママはほかのひとにもよくお裾分けをしているので、もしそのお料理にも髪の毛が入っていたりしたら、本人が気づかないままほかのお友達に悪く思われていないかと心配でもありました。

それに、ポッポちゃんも舞ちゃんも、もし逆の立場だったらと考えると、髪の毛が入っていたことを教えて欲しいと思います。

でもどう伝えるべきか?

ポッポちゃんは、実の息子であるご主人から言ってもらったら?と提案しますが、舞ちゃんのご主人はマザコンであてにできないそうです。

そんなわけで、ゆっこママへのお手紙の代書を引き受けたポッポちゃん。

結果は大成功!更に仲良しになれたようです。

どんな手紙だったのかは、ぜひ実際に読んでみてください。

「紫陽花」には、男爵とマダムカルピスも登場。

実はポッポちゃん、中学3年生になったQPちゃんと最近うまくいっていません。

反抗期と言われるお年頃ではありますが、ポッポちゃん以外の家族とは変わらず接しているのに、なぜかポッポちゃんにだけ冷たい対応なのです。

ずっと無視したり、たまに舌打ち、睨むこともあったり。どうしていいかわからないポッポちゃんは、マダムカルピスに相談。

すると、マダムカルピスは、自分はどうだったの?などと聞きながら、最終的には、時間だけが解決する「トキグスリ」ってものがあるのだと言います。

そして、「大丈夫、ポッポちゃん、いいお母さんだから」と。

このマダムカルピスの言葉で泣き出してしまうポッポちゃん。

育児って本当に悩むことばっかりで、その子その子で違うから正解もわからなくて、みんな自信が持てないままがんばっているんですよね。

特にポッポちゃんは、血のつながらないQPちゃんをずっと大事に思ってきただけに、マダムカルピスに言われたひとことはグッときたのでしょう。

マダムカルピス初登場は、1作目「ツバキ文具店」です。

金木犀

第二章の「金木犀」で、ポッポちゃんのもとに知らない人物からの手紙が届きます。

その内容はなんと、ツバキ文具店と代書屋の先代でもある、亡くなったポッポちゃんの祖母・かし子さんが、妻子ある男性と付き合っていたというもの。その手紙の送り主は、そのかし子さんの相手の男性の親せきで、近いうち会えないかと書かれています。

びっくりするポッポちゃんですが、代書屋の仕事が入ります。

ママ友のママ友という茜さんからの依頼。

それは、がんにかかり、間もなく結婚する娘の結婚式まで、自分の命がもたないと悟った茜さんが、最後に娘に手紙を残したいのだけれど、手術の後遺症で腕が上がらず書けないから代書して欲しいというもの。

実際内容が重いし、実は筆者の私も現在がん闘病中のため、余計に泣ける手紙になっています。

ただ、著者の小川糸さんの別の小説「ライオンのおやつ」も読んだのですが、「ライオンのおやつ」は余命宣告されたひとたちの話で、ヘビーではありながら暗いだけではないお話になっていて、小川糸さんのうまさを感じます。

そして、先代かし子さんの付き合っていた男性の親せきである男性・美村冬馬さんと会う日に。

そこで見せられた先代の手紙には、愛する男性・美村龍三さんへの赤裸々な思いが綴られていました。

ポッポちゃんは驚きつつも、冬馬さんに、先代のところに美村龍三さんからの手紙が残っていないか、探してみると約束をして別れます。

その後も代書の仕事は続き・・・

  • マダムカルピスのご主人の紹介で、長年勤めた会社にリストラされた男性の退職届
  • 男爵のはとこで弟分のやくざっぽい外見の男性(ポッポちゃん命名:知的ヤクザ)から商品発送時に添える手書きの手紙
  • 優秀なキャリアウーマンだったが身寄りもなく、若年性認知症になってしまった女性から、定期的に自分に手紙を送って欲しいという依頼

どんどん舞い込む代書屋の仕事ですが、どれもちょっと考えさせられる内容です。

椿

先代の本の間から、美村龍三さんからのハガキを見つけたポッポちゃん。

とうとう覚悟を決めて、先代の手紙を読み始めます。

そこへやってきた代書屋の仕事は、84歳の父に、車の運転をやめさせて免許を返納させたいという娘からのもの。

なんとも今の時代にマッチした内容です。

父親は自分の運転に絶対の自信があり、車がないと不便な地域に住んでいることもあって、絶対に運転をやめる気はありません。

娘夫婦はどちらも免許がなく、かつてはその父親の運転におおいに助けられていたため、やめさせるのは申し訳ないと思いつつも、年齢を考えるともういつ事故を起こしてもおかしくないと説得を続けていました。

自分がけがをするのは自業自得ですが、誰かを傷つけたり、最悪命を奪うことがあっては取り返しがつきません。

医者をしていた父親の誇れる人生を、台無しにしたくないのです。

しかし、父親は「俺の手足をもぎ取るつもりか」と怒り出したり泣き出したり。

似たような話をテレビなどでも聞きますよね。

そこで娘は、今も父が大好きな母の力を借りることにしました。母は、骨折を機に老人ホームで生活をしています。その母から父に、説得する手紙を書いてもらおうと。

でも、母は目も見えないし、面倒だから嫌だと。ただその案には賛成のようで、ポッポちゃんに代書を頼むことにしたのです。

なかなかすごい手紙ができあがりました。

このお母さんがすごいからこそ効力のある手紙なのでしょうけれど、ポッポちゃんの腕もあり、厳しい内容ながら、これで説得に応じないならもうあきらめもつくし、きっとお父さんも応じるだろうと。

代書を終えたポッポちゃんは、こんどは自分からQPちゃんへの手紙を書きます。

QPちゃんの受験当日のお弁当にしのばせるための手紙です。

これって、いろんな親御さんがやることなんですかね?かつて私の母も書いてくれました。そして私も真似をしてわが子のお弁当に手紙を添えました。

QPちゃんを応援しつつ、QPちゃんへの思いを込めた手紙です。その中で、試験が終わったらふたりで伊豆大島へ旅行しないかと誘います。

先代と美村龍三さんの手紙を読み、ポッポちゃんは冬馬さんと相談の上、美村氏の暮らしていた、ふたりの思い出のある伊豆大島で手紙を供養することにしました。

その供養のための旅に、ポッポちゃんを誘ったのです。

旅に出る日、QPちゃんと一緒に家を出られないポッポちゃんは、大島行きのジェット船乗り場で待ち合わせをすることにしました。

ところがQPちゃんは現れません。

QPちゃんからは、一緒に行くという返事はもらえていませんでした。

だからポッポちゃんは、あきらめてひとりで旅立ちます。

明日葉

続く章は「明日葉」です。

先代の恋は、言ってしまえば不倫であって、許されない恋だったのですが、それでも間違いなくふたりが愛し合っていたのだとわかったポッポちゃんと冬馬さんは、ふたりで無事手紙を供養します。

そして先代の思い出の地・伊豆大島をまわります。

冬馬さんのパートナーとも出会い、楽しい夜を過ごし、ツインの部屋でひとり一泊。

翌日、冬馬さんが軽トラで迎えに来て、先代と美村氏の思い出の場所を訪ね、帰りの港までの道中、冬馬さんの両親に対する思いを知ります。

そこで冬馬さんは、両親への手紙の代書をポッポちゃんに依頼するのでした。

そして港へ向かう中、ポッポちゃんの目に飛び込んできたのは。

この後の展開は、なかなか泣ける内容なので、ぜひ実際に読んでみてください。

最終章「蓮」では、4月になり、QPちゃんは無事第一志望の進学校に合格して高校生になり、小梅ちゃんと蓮太朗くんは2年生になります。

そんなポッポちゃんのツバキ文具店に、あの「キラキラ共和国」の登場人物が訪ねてきます。

これは読んでみて、おおっ!となってください。ほっこりします。

そして、母の日。QPちゃんからポッポちゃんに手紙が届きます。これもぜひ読んでみてください。

ところで、ポッポちゃん一家には困りごとがほかにもありました。

それは、かつてバーバラ婦人が住んでいた家に今住んでいる女性との関係。

その女性は猫と暮らす独り身のようで、音に敏感なのか、ポッポちゃんの家の音に対してうるさいと苦情を言ってくるのです。

ポッポちゃんの家でも、そこは注意していて、特に小さいふたりにはかわいそうになるくらい気を使わせていました。

でも、いつも我慢させている子たちのために、昼間に催した誕生会がうるさかったらしく、いつもより強い内容の苦情の手紙がポストに入っていたのです。

そんな時、バーバラ婦人が一時帰国することに。

ポッポちゃんは、鎌倉にいる間は泊まってもらうことにしました。

そしてやってきたバーバラ婦人。パンティーもかけつけ、QPちゃんと4人で女子会です。

そこでお隣さんとのことを話すと、バーバラ婦人が言うのです。

「だったら、ここにお呼びしましょうよ」

バーバラ婦人曰く、相手のことがわからないからお互い不安になるのだと。

バーバラ婦人って、年の功というだけでなく、もう彼女そのもののすごさというか、毎回感動します。

何事もそうですね、差別も戦争も、つきつめればそこに行きつくのでしょう。

お互いを知らないからなのでしょう、きっと。

その後の展開は、例によってぜひ実際に読んでみてください。

そしてポッポちゃんは、なかなか書けずにいた冬馬さんの両親への手紙の代書を書き終えます。

またドラマ化を期待して

だいぶ間をあけての3作目「椿ノ恋文」でしたが、お母さんとしてがんばってきたポッポちゃんが素敵でした。

それから魅力的な登場人物たちも相変わらずだし。今回初登場の中では、私はけっこう知的ヤクザが気に入っています。

重い内容もありながら、気持ちよく読めるシリーズです。また多部未華子ちゃんでドラマ化しないかなあと期待しています。

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